2014年10月29日から楽天グループから「楽天モバイル」として本格的にサービスが開始となりました。通常、格安SIMと言えばデータ通信のサービス提供から始まり、設備や通信環境が整い次第、順次音声通話サービスを提供するという流れが主流の中、楽天モバイルはサービス提供当初から音声通話SIMと携帯端末のセットor音声通話SIMのみという2パターンの販売から開始しました。
いわゆる市場の流れを逆行しているように見えました。しかし、これは他事業者で格安SIMのサービスが開始され、その中でユーザーが音声通話を必要としているというところに目をつけた動きなのでしょう。
音声通話に目を付けたサービスの提供
格安SIM業界では、インターネットやモバイル等に詳しい人が、データ通信専用として利用することが多かった時代から、データ通信だけではなくドコモやau、ソフトバンクが提供している音声通話サービスと同じように通話もできなければいけないという流れになり、各社がぞくぞくと音声通話ができる格安SIMを発売し始めました。
楽天モバイルはデータ通信のみの販売は行わないで、通話をメインとしたSIMの販売を開始しました。まず2017年1月現在の料金プランは下記の通りです。
現在提供している楽天モバイルの料金プラン
通話SIM | 050データSIM(SNS有) | 050データSIM(SNS無) | |
ベーシックプラン | 1,250円 | 645円 | 525円 |
3.1GBプラン | 1,600円 | 1,020円 | 900円 |
5GBプラン | 2,150円 | 1,570円 | 1,450円 |
10GBプラン | 2,960円 | 2,380円 | 2,260円 |
20GBプラン | 4,750円 | 4,170円 | 4,050円 |
30GBプラン | 6,150円 | 5,520円 | 5,450円 |
楽天モバイル 音声通話SIMの魅力 -楽天でんわ5分かけ放題-
楽天モバイルの音声通話は業界でもトップクラスの安さが売りのベーシックプランから始まり、データ通信容量にあわせて金額が変わってくるというプランです。
その中でも業界トップクラスのサービスといっても過言ではないでしょう、楽天モバイルの通話オプションで「楽天でんわ5分かけ放題」というものがあります。それぞれ利用者の用途によっては他社よりもお得なサービスとなってますので、こちらのサービスのメリットデメリットを以下に紹介していきます。
①サービス説明
まずサービスの内容ですが、「楽天でんわ5分かけ放題」に申し込んだ人は、5分以内の国内通話が何度でもかけ放題になるというサービスです。月額は850円(税別)となっております。上記の料金プランすべてに対応してます。
★「楽天でんわ 5分かけ放題」を利用するにはどうしたらいいのか?★
まずは楽天が提供している「楽天でんわ」というアプリのダウンロードが必要です。もともとは楽天モバイルの契約有無に関わらず、このアプリを利用すれば、10円/30秒で通話ができるというアプリです。携帯電話事業者(NTTドコモ、au、softbank)の契約者でも利用できるアプリです。
アプリを利用すると、インターネットを利用して音声データを送受信するIP電話のイメージを想像する方が多いでしょう。IP電話は今でこそ一昔前より通話品質は良くはなったものの、まだ音声の遅延や途中で途切れてしまうということは少なからず発生してしまいます。
しかし「楽天でんわ」アプリはIP電話ではなく、通常の電話回線を利用する為、通話品質も良く、満足のいく通話ができ料金も安く抑えることができます。
②メリット
メリットはなんと言っても、5分以内の国内通話がかけ放題になるところです。長電話はしない、でも用件はメールで伝えるより、電話で話したほうがラク、という人には回数制限もなく、かなりお得なサービスです。さらに、5分を超えて通話をした場合は10円/30秒の料金の加算となります。
しかしこの10円/30秒という金額、格安SIM事業者の通話料金としては安いのです。ほとんどの事業者は20円/30秒という金額が相場ですが、楽天モバイルの「5分かけ放題」は5分を超えた通話でもお得な料金で通話ができるサービスなのです。
③デメリット
この「楽天でんわ 5分かけ放題」についてはデメリットらしいデメリットは見当たりません。強いて申し上げると、110番や119番といった緊急通報、あとはフリーダイヤルにかけられないという点です。
その場合は楽天でんわアプリを使わないで、通常の電話をすればかけられます。
④注意点
この「楽天でんわ 5分かけ放題」はデメリットは少ないものの、注意しなければならない点は何点かあります。これを間違えてしまうと、高額な請求になってしまったり、サービスを受けられないと言ったことになる場合があります。
まず、楽天モバイルの契約者であること。ここで間違えてはいけないのは、「楽天でんわ」アプリは楽 天モバイルの契約がなくても利用することができます。
NTTドコモの契約者でも、Biglobeの契約 者でも利用できます。しかし、「楽天でんわ 5分かけ放題」サービスは「楽天でんわ」アプリを利用 しますが、楽天モバイルの契約も必要です。「楽天でんわ 5分かけ放題」サービスは、必ず「楽天でんわ」アプリから電話をかけないと適用され ません。
「楽天でんわ 5分かけ放題」サービスは、楽天モバイルの音声通話SIMでしか利用できません。データ通信SIM、データ通信SIM(SMS)の契約では「楽天でんわ」のアプリをダウンロードできても「楽天でんわ 5分かけ放題」サービスを受けることは出来ません。
楽天モバイル 音声通話SIMの魅力 -利用料金-
楽天モバイルの通話サービスの魅力が「楽天でんわ 5分かけ放題」サービスにあることを説明しましたが、次に、ユーザーが事業者を選定する際に重要視される利用料金をご案内します。
しかし正直、月額の料金に関しては事業者ごとの大きな違いはありません。例をあげると、楽天モバイルと同じように「5分かけ放題」のサービスを実施している格安SIM事業者は850円前後のオプション料金を設定しています。
格安SIM業界大手のOCNは楽天モバイルと同じ金額ですし、au系格安SIMを取り扱っているmineoも同金額。Freetelは840円という金額設定となってます。 そこで現在、携帯電話事業者(NTTドコモ、au、softbank)で契約をしている人が今よりどれだけお得感を感じるかという点で比較をしてみます。
携帯電話事業者=今回は回線提供元のNTTドコモと比較してみます。
楽天モバイル
基本プラン | 音声通話付き | 5分かけ放題オプション | 合計月額料金 |
ベーシックプラン | 1,250円 | 850円 | 2,100円 |
3.1GB | 1,600円 | 2,450円 | |
5GB | 2,150円 | 3,000円 | |
10GB | 2,960円 | 3,810円 |
NTTドコモ
基本プラン | 基本プラン+SPモード324円 | データMパック5GB | 合計月額金額 |
カケホーダイライトプラン | 2,160円 | 5,400円 | 7,560円 |
カケホーダイ | 3,240円 | 3,780円 | 7,020円 |
やはり目を惹くのは楽天モバイルのベーシックプランです。インターネットも利用でき、音声通話もできる。さらに5分以内の国内通話ならかけ放題というプランです。しかし、インターネットについては200kbpsの通信速度しか出ないのでyoutube等の動画を観る場合はほとんど見ることができません。
携帯電話事業者と比較をするなら、ベーシックプランの一つ上の3.1GBプランが良いでしょう。
「楽天モバイルの3.1GBプラン」 vs 「NTTドコモカケホーダイ+データSパック2GB」
<月額料金> 〇楽天モバイル - ×NTTドコモ
<通信容量> 〇楽天モバイル - ×NTTドコモ
<通話時間> △楽天モバイル - △NTTドコモ
<通信速度> ×楽天モバイル - 〇NTTドコモ
<通話品質> △楽天モバイル -△NTTドコモ
以上のような結果になります。
もともと楽天モバイルはNTTドコモの回線を利用しているということもあるので、通信環境についてはほとんど遜色ないですが、月額料金ではNTTドコモの約1/3の料金となってます。料金を抑えたい人にはかなり魅力的ですね。
音声通話品質は大丈夫?
楽天モバイル 音声通話のサービス、利用料金、と説明をしましたが、肝心な通話品質はどうなのだろう?と疑念を抱く方もいるでしょう。前述したように楽天でんわは、IP電話とは違い、通常の通話回線を利用しています。
その為、携帯電話事業者の「Volte」というサービスにも対応してます。※ただし、利用している電話機がVolteに対応しているものに限る。 ちょっとここで「Volte」というものを説明します。
「Volte(Voice over LTE )」読み方は「ボルテ」と読みます。もともとLTEは高速データ通信で利用されてきた方式です。今まで3G回線で利用してきた音声通話をLTE通信網で利用しようという規格がVolteです。
その為、高速で音声データを送信できるので通話の品質も格段にあがり、クリアな音声が届くようになります。 このようにVolteというサービスを楽天モバイルは利用することができるのでもちろんですが、音声通話の品質も携帯電話事業者と同等の品質を保ってます。
まとめ
鳴り物入りで格安SIM事業に参入してきた楽天モバイルはグループ会社で獲得した顧客、宣伝力を生かし、拡大してきました。サービス開始当初は音声通話プランの中でベーシックプランはデータ通信と音声通話ができるプランの最安値として注目を浴びましたが、蓋を開けてみるとインターネットの閲覧などのデータ通信は最大200kbpsという、途中で通信が固まってしまうというお粗末なものでした。
この時の音声通話は、電話をかけられるだけというもので、通話をすればした分だけ、20円/30秒で月額料金に加算されていました。そこで「楽天でんわ」アプリが登場し、10円/30秒という割安の料金で通話ができるサービスが開始、さらにユーザーにとって、より良いサービスを提供するとして「楽天でんわ 5分かけ放題」等のサービス、取扱端末の充実等を提供し発展してきました。
現在、契約者数では格安SIM業界の3位に一気に伸びてきてますが、今後の展開次第では楽天モバイルの上位に位置するOCN、IIJの座も脅かす存在になりそうな雰囲気さえ持ってます。第三極として、楽天モバイル、UQモバイル、Yモバイルとして注目を集めている中で、今後新たなサービスを展開し頭一つ抜け出すのは楽天モバイルなのではないかと期待されています。
今までの格安SIM事業者の動きとしては、携帯電話事業者が行っているサービスを追いかけるという流れでしたが、音声通話に関しては携帯電話事業者にほぼ追いついたかのように思われます。音声通話定額サービスの次は何が来るのか今後楽しみな状況です。